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発想①-2

屋根形状

 一丁前に2部構成です。

いつかのこの地の街並みを想像して続きを。

 

兎に角雪深いここ十日町(ツマリ)地域、自然落雪は図らずも屋根雪処理に自然に必要とされた形状、屋根勾配です。それ自体はとても素直な事ですのでこの地の特性により選ばれたやり方だと思っています。何度か急勾配の屋根形状を揶揄する声も聞いたことがありますが、私は自然な事だと思っています。必要にして選ばれた一つの手法。これだけでなく実際は色んな屋根形状がありそれぞれの考え、事情で計画されていきますのでそれも自然な事。どれも正解です。広く多く好まれている屋根勾配から外れているから格好が云々。回りくどく否定するよりもこれは必要に求められたものだと柔軟に理解し、その上でそれをどうやったらもっと格好が良いか、土地あるいは風景に馴染むか。そんな風にみんなで前向きに受け止めたいものです。どれが一番優れているかのお話をしたいのではなく、今回は一番需要が多く汎用性の高い自然落雪・木造2階建の屋根雪処理の方法についての発想です。

 

3階建で1階がRC造ならまだしも木造2階建では外壁や窓の痛みが早いなど心配事も多いなと感じてました。そこで雪を自然落雪させる方向を決めその外壁面まで屋根材で覆う事で雪が触れる部分を一つの素材に任せておく形状なら心配は減るのではないかと思いました。外壁材より屋根材の方が単価も低いですし補修のし易さの面など色々な事で利が多いと考え、提案を受け止めて頂き一軒実現に至りました。出来上がってみると雪が落ちても放っておいて大丈夫そうな安心感もありましたし特徴的な外観にもなりました。そこに地元材などの外壁材を用いてよりこの土地から出てきた様な建物になったと嬉しく思い喜んで頂けて本当に有り難かったです。

 

この形状は設計者の力量を問う一面もあります。通常4面ある外壁面が3面になります。基本的に屋根材の面には窓を設けません。雨仕舞いなどのリスクが増えるからです。そうなるとご希望を叶えつつ窓を設ける面が1面 無くなってしまいます。窓は暮らしの側にある事でそれそのものを本当に豊かにしてくれます。外との繋がりそのものです。景色や眺め、風や色々な空気を運んできます。天候を知ったりはたまた厳しい環境から暮らしを守ってくれたり。窓は情緒的にも物理的にもとっても大切なところです。法的にも開口部のサイズで様々な事をクリアする必要もあります。その設置に制約が!と思わずその条件で得られる恩恵を活かす様に計画させていただけば良いと前向きに考え寧ろどうやって最適解をご提案できるか面白みすら感じて計画すれば何の問題もありません。設計の醍醐味、面白みです。

 

そんなこんなでこの地の風景になり得る

屋根形状の解の一つ

いつかそんな風になったらなと

損得なしで思った屋根形状のお話でした。

 

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